「太陽を抱く月」は、2012年に韓国MBCで朝鮮王朝時代を舞台に王と記憶を失った巫女との運命の恋を中心に描いたファンタジーロマンスです。キム・スヒョンとハン・ガインのダブル主演、また天才子役のキム・ユジン、ヨ・ジングの演技が話題になり、韓国では40%超える視聴率で大ブームを引き起こした作品です。
時代劇はキャストの数も多く現代劇に比べると少し複雑です。「出演していたキャラクターを詳しく知りたい」「子役たちの名前は?」「ほかに出演している作品も知りたいな…」など、キャストにまつわる話を知りたい方にお役に立つ情報をご紹介します。
この作品をきっかけに大ブレイクしたり、演技の幅がぐっと広がった出演者も多く、視聴者だけでなく演じる側も思い入れのある作品になったようですのでぜひご覧になってくださいね。
「太陽を抱く月」キャスト紹介
キム・スヒョン
病で亡くなった初恋のヨヌを忘れられないまま世子嬪を迎え、王となり心を閉ざす王フォンを演じています。決して絶世の美男子という訳ではありませんが、キラキラと光る目の輝きやひとつひとつのセリフが視聴者の心をとらえる俳優さんです。また歌手顔負けの歌唱力の持ち主で「太陽を抱く月」でもその歌声をOST「あなたひとり」で披露しています。
役名 | イ・フォン |
生年月日 | 1988年2月16日生まれ |
主な作品 |
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ハン・ガイン
王フォンと恋に落ち、世子嬪に選ばれるも呪いをかけられ病に侵されて亡くなりますが、記憶を失ったまま甦り「王の身代わりに厄を受ける」巫女ウォルを演じています。この作品のあと女優業を小休止し、6年後変わらぬ美貌のままドラマ「ミストレス」で復帰を果たしています。私生活では俳優ヨン・ジョンフンと結婚し、2016年に女児のママになっています。
役名 | ホ・ヨヌ/ウォル |
生年月日 | 1982年2月2日生まれ |
主な作品 |
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チョン・イル
庶子として生まれ、政権争いから外され、父である王からも遠ざけられている王フォンの異母兄陽明君を演じています。陽明君もまたヨヌが初恋の人であり、巫女ウォルに彼女の影を重ねて兄弟で三角関係になっていきます。日本でも大人気の俳優で、ファンミーティングを楽しみにしているファンも多くいます。また最近では、韓国・日本だけでなく中国でも活躍し中国ドラマの主演も果たし、ますますアジア全土にファンを増やしている俳優さんです。
役名 | 陽明君(ヤンミョングン) |
生年月日 | 1987年9月9日生まれ |
主な作品 |
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キム・ミンソ
穏やかで上品な外見とプライドが高く計算高い野心家の両面を持つフォンの妃を演じています。王妃についたものの王が初恋の人を忘れられず自分に見向きもしないことに嫉妬しつつも愛も野望も捨てられない難しい役です。「トキメキ☆成均館スキャンダル」で妓生役をしたことで一躍人気女優に。言葉よりも目でセリフを語る魅力的な女優さんです。
役名 | ユン・ボギョン |
生年月日 | 1984年3月16日生まれ |
主な作品 |
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ソン・ジェヒ
国の将来を担う人材として期待されていたがヨヌと父の死後、旼花王女と結婚し、政治からは離れ静かに暮らすヨヌの兄を演じています。広く名前が知られるようになったのはこの作品がきっかけです。その後数々のドラマに恵まれて安定的な演技力が支持されています。私生活では、女優チ・ソヨンと出会いから2か月というスピード結婚をしています。
役名 | ホ・ヨム |
生年月日 | 1979年12月11日生まれ |
主な作品 |
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ソン・ジェリム
幼いときは親友、成長してからは側近兼護衛武官としてフォンのそばで生きる役を演じています。仕事の都合で公開オーディションを受けられなかったにもかかわらず、監督自らミーティングをして決めたというくらいウンという役にマッチしていたそうです。ファッションモデルとして日本でも数々の雑誌の紙面を飾ったという経歴を持っています。
役名 | キム・ジェウン(雲) |
生年月日 | 1985年2月18日生まれ |
主な作品 |
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キム・ユジン
ホ・ヨヌの少女時代を演じています。物語の最初のフォンとヨヌが宮廷の庭で出会う運命の始まりともいえるシーンが印象的です。撮影当初まだ12歳という幼さでしたが子役歴は長く、その堂々とした姿は子役の域を越えていたといいます。「国民の妹」と呼ばれるナンバーワン子役でしたが、現在ではラブストーリーの主役も演じる女優さんへと成長しました。
役名 | ホ・ヨヌ(子役) |
生年月日 | 1999年9月22日生まれ |
主な作品 |
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ヨ・ジング
太陽を意味する「フォン」と名付けられ、明るくいたずら好きな王フォンの少年時代を演じています。天才子役と呼ばれるひとりです。この作品がヒットしたの要因のひとつがこのヨ・ジングが演じたフォンだったと言われています。撮影時は「学校に行くとみんながドラマの話をしていた」という子供らしさも。その後も着々と成長し「オレンジマーマレード」では主役を演じています。
役名 | イ・フォン(子役) |
生年月日 | 1997年8月13日生まれ |
主な作品 |
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イ・ミノ
フォンの異母兄陽明君の少年時代を演じています。陽明君もまた「太陽」という意味。フォン同様もうひとつの「太陽」として運命に巻き込まれていきます。イ・テリに改名後ハリウッド映画にデビューしています。
役名 | 陽明君(子役) |
生年月日 | 1993年6月28日生まれ |
主な作品 |
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キム・ソヒョン
フォンの王妃になるユン・ボギョンの少女時代を演じています。幼いころから計算高くヨヌをライバル視します。お人形さんのような丸い目が魅力の彼女、その後も女優の道を進み、今では主演ドラマも大ヒットしています。
役名 | ユン・ボギョン(子役) |
生年月日 | 1999年6月4日生まれ |
主な作品 |
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イム・シワン
暖かくともる火という意味の名前の通り、天才的な頭脳と美しい容姿で周りを魅了し、フォンの講義を担当する役を演じています。人気アイドルグループ「ZE:A 」メンバーでその後韓国の社会現象にもなった「ミセン」では主役を演じています。
役名 | ホ・ヨム(子役) |
生年月日 | 1988年12月1日生まれ |
主な作品 |
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オ・ウォングン
「雲」という意味の名前通り、太陽や月を守るように寄り添う運命を持つ、陽明君とヨムの親友を演じています。新人として初オーディションがこの「太陽を抱く月」で、セリフがほとんどないながらも強烈な存在感が話題になりました。
役名 | キム・ジェウン(子役) |
生年月日 | 1991年6月27日生まれ |
主な作品 |
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キム・ヨンエ
宮廷を牛耳り、暗殺、呪殺など目的のためなら手段を選ばない、フォンの祖母である大妃ユン氏を演じています。数々の韓国ドラマを支えた素晴らしい女優さんですが、2017年に亡くなられました。
役名 | 大妃ユン氏 |
生年月日 | 1591年4月21日生まれ |
主な作品 |
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ナム・ボラ
王女として何不自由なく育ち天真爛漫でヨムに一目ぼれし、結婚まで叶えてしまう王女を演じています。私生活では13人兄弟の長女です。
役名 | 旼花王女(ミナ) |
生年月日 | 1989年11月27日生まれ |
主な作品 |
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キム・ウンス
ポギョンの父、大妃の指示で様々な謀略を実行する大妃ユン氏の甥を演じています。日本で7年映画の演出を学んだこともあり日本語が堪能。
役名 | ユン・デヒョン |
生年月日 | 1961年2月12日生まれ |
主な作品 |
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チョン・ウンビョ
優しく誰よりもフォンを理解し、見守る内官を演じています。フォンにとっても数少ない心を許せる存在。悲劇やせつない出来事が多い時代劇でこの俳優さんの笑顔をみるとホッとします。
役名 | ヒョンソン |
生年月日 | 1966年3月27日生まれ |
主な作品 |
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アン・ネサン
フォンの父。自分の地位を守るため、異母弟を殺害したことに傷つきながら果敢に政治を行う王を演じています。冷たくあしらいながらも実は悲劇を繰り返さないように陽明君を遠ざけている父親でもあります。
役名 | 成祖 |
生年月日 | 1964年7月24日生まれ |
主な作品 |
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キム・ソンギョン
フォンの母。優しく温厚で常に息子と娘の幸せを第一に考え、姑とは反対で政治的な野心を持たない王妃を演じています。
役名 | 王妃ハン氏 |
生年月日 | 1968年12月26日生まれ |
主な作品 |
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ソヌ・ジェドク
ヨヌ/ウォルの父。宮廷では珍しい私心のない忠臣、弘文館の大提学を務める優れた学者を演じています。
役名 | ホ・ヨンジェ |
生年月日 | 1962年7月23日生まれ |
主な作品 |
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ヤン・ミギョン
ヨヌ/ウォルの母。夫同様まっすぐで、困った人を見捨てることが出来ない優しい性格の女性を演じています。
役名 | シン氏 |
生年月日 | 1961年7月25日生まれ |
主な作品 |
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キム・イェリョン
慎ましく穏やかな人柄で、息子である陽明君をいつも案じている成祖の側室を演じています。
役名 | 禧嬪パク氏 |
生年月日 | 1969年3月17日生まれ |
主な作品 |
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チョン・ミソン
ヨヌの命を蘇らせ見守り続ける巫女、傑出した神力をもつ国巫(最高位の巫女)を演じています。
役名 | チャン・ノギョン |
生年月日 | 1972年12月7日生まれ |
主な作品 |
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ユン・スンア
ホ家の使用人としてヨヌへひそかに思いを寄せながら仕える侍女を演じています。
役名 | ソル |
生年月日 | 1983年9月29日生まれ |
主な作品 |
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ペ・ヌリ
持って生まれた神力をうまく使いこなせず、ノギョンに引き取られる神娘を演じています。
役名 | チャンシル |
生年月日 | 1993年2月4日生まれ |
主な作品 |
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キム・イクテ
ノギョンの協力者で、埋葬されたヨヌを救い出して逃がす協力をする昭格署に所属する道士を演じています。
役名 | ヘガク道士 |
生年月日 | 1956年3月15日生まれ |
主な作品 |
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チャン・ヨンナム
ノギョンの親友で、並外れた神力を持つ巫女を演じています。
役名 | アリ |
生年月日 | 1973年11月25日生まれ |
主な作品 |
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ユン・ヒソク
実直な性格でフォンからも信頼され、密令を受けてヨヌの死の真相を調査する義禁府の役人を演じています。
役名 | ホン・ギュテ |
生年月日 | 1975年2月19日生まれ |
主な作品 |
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キム・ミョングク
ウォルとフォンの相性が並外れて良いと判断し、ウォルを厄除けの巫女にしようと提案する観象艦の名課学の教授を演じています。
役名 | ナ・デギル |
生年月日 | 1963年3月3日生まれ |
主な作品 |
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「太陽を抱く月」キャストにまつわる撮影話と小ネタ
キム・スヒョン、架空の王を演じて一気にトップスターの仲間入り
キム・スヒョンが演じた王フォンは、歴史上実在しない架空の王です。初めて時代劇へ挑戦するプレッシャーの中、三国志をもとに描かれた漫画「蒼天航路」の登場人物を参考に少しずつフォンという王のイメージを練っていったそうです。
時代劇に出てくる王といえば政権争いや国を思い通りに動かし、時には残酷に描かれることが多いものですが、彼が演じた王は「王でありながら愛に飢え、愛を求めた人間らしい王」でした。
若いファンだけでなく彼の母親世代にも愛されるトップスターになった彼は、その後も「星から来たあなた」で宇宙人を演じたり、映画では二役を演じたりと現在は演技の幅をぐっと広げています。この作品でダブル主演を演じ切ったことは俳優人生の中でターニングポイントだったといえるでしょう。
ハン・ガイン、初めての時代劇。コンプレックスのボイスが強みに。
理由はわからないのに王の悲しみを自分の悲しみとして受け取ってしまう場面や、突如襲われるデジャブのような感情。感情豊かに思いをセリフや表情に乗せて表現する現代ドラマと違い、王に触れることさえ許されない朝鮮王朝時代、巫女の秘めた感情を演じるのはとても難しかったそうです。
日本人女性と比べると韓国人女性は声のトーンがかなり低め。私の友人も日本語を話すときは声を高めにしているそうで、母国語の韓国語で話すのをみた時驚いたことがありました。チェ・ジウの大人びた声に日本の吹き替えドラマで声を聞き馴れていて驚かれた方も多いと思います。
ハン・ガインも落ち着いた低めのボイスの持ち主。彼女自身のコンプレックスでもあり、当初は役に合わないのではないかという声もあったそうですが、後半に進むにつれてその声は魅力的に映りました。「内にじっと秘めた強い感情や冷静さ」を抱えた女性、また神秘的な巫女という雰囲気をより一層引き立てたのだと思います。
チョン・イル、報われない恋心と兄弟愛。今も語り継がれる迫真の演技
今どきの甘いマスクが魅力的で、イケメンでさわやか青年や胸きゅんラブコメを演じることが多かったチョン・イル。しかし、この作品では明るく気ままに過ごしている風に見えても置かれた立場や運命に傷つき、報われない恋心に苦しみ、それでも芯の通った生き方を貫く姿を演じました。
彼が監督に頼んで撮り直したというラストシーンは、この作品の中でも名シーンのひとつになったのではないでしょうか。
「兄弟愛も、恋も守るために出した決断」その強烈な印象は、韓国女性を魅了し、私も含め日本のチョン・イルのファンの中でも今も心に残るシーンとしてこの場面を挙げる方が多いはずです。チョイン・イルが出演したことで「太陽を抱く月」が引き締まり、より深い作品になったと思います。
子役の演技が素晴らしくもっと子役を見続けたいという視聴者たち
時代劇によくある「子供時代」と本編である「大人時代」。
子供時代から視聴者の心をつかんだ子役たちの活躍は、その後を演じる大人時代の俳優たちをより緊張させてしまったのだそうです。
それもそのはず、王の子供時代を演じたヨ・ジングは今では主役を演じる実力派俳優に、ヨヌの子供時代を演じたキム・ユジョンも大ヒットした「雲が描いた月明かり」で主役を、アイドルのイメージを払拭し、俳優として開眼したイム・シワン、今では次々とドラマで主役や印象的な役をこなすキム・ソヒョンなど、今にしてみれば「どれだけ?」というくらいの豪華キャストです。
圧倒された大人の俳優たちに監督キム・ドフンは子役のことはすべて忘れるように「私が皆さんをキャスティングしたのは皆さんの中にその役の姿を見たから」だとずっと励まし続けたそうです。俳優たちと監督が強い信頼関係で結ばれ、一緒に作り上げたからこそ今でも愛される作品となったのでしょう。
まとめ
いかがだったでしょうか…
40%を超える視聴率を叩き出し、今でも繰り返し観たくなる時代劇として語り継がれる「太陽を抱く月」。人気の理由のひとつは「現代にも通じる欲望や葛藤、愛」を描くことで共感を呼んだからでしょう。
韓国の時代劇は何十話と長いものも多く、子役時代のエピソードが数話続くため、お目当てのキャストがいたり、ゆっくり時間がとれない方の中には「大人時代になってやっと面白くなってきた」「大人時代になってから見ようかな」という声も時々聞こえてきますが、この作品はキャストも素晴らしく、1話から視聴者を引き付けた珍しい作品だと言えます。
「韓国の時代劇で観やすいのは何?」なんて聞かれるといつも私はこの「太陽を抱く月」をおすすめしています。
まだ見ていない方にはぜひ観ていただきたいし、観た方にももう一度見るきっかけになれば嬉しいなと思います。
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